表面粗さの測定:接触式と非接触式の原理と適用範囲

皆さんこんにちは、アキヤマエヌシーテープセンターの秋山です。

今回は、表面粗さを測定するための二つの主要な方法(スタイラスによる接触式とレーザーによる非接触式)の原理と、それぞれの測定限界を解説します。

設計図面で表面粗さを指示する際、その「測定方法」まで意識されているでしょうか。「どの方法で測っても同じ結果になるはず」と考えていると、思わぬところで品質のばらつきや、加工現場との認識のズレが生じることがあります。特に、接触式と非接触式という二つの主要な測定方法には、それぞれ得意なことと不得意なことがあります。この記事では、表面粗さ測定の二大方式である「接触式」と「非接触式」の基本的な原理と、それぞれの特徴や適用範囲について、分かりやすく解説していきます。この知識は、より的確な設計指示や、加工現場との円滑なコミュニケーションにきっと役立つはずです。

1. なぜ表面粗さを正しく測る必要があるのか

まず、なぜ表面粗さが重要なのかを簡単におさらいしましょう。部品の表面の状態は、製品の機能や性能に直接影響を与えます。例えば、部品同士がこすれ合う部分(摺動部)では、表面が滑らかであるほど摩耗しにくくなります。逆に、接着剤を塗る面や塗装をする面では、適度な粗さがあった方が密着性が高まります。このように、製品が求められる機能を発揮するために、表面粗さを適切に管理し、それを正しく測定することは、ものづくりの品質を保証する上で非常に大切な工程なのです。

2. 接触式測定の原理と特徴

接触式測定は、その名の通り、測定対象の表面に直接触れて凹凸を測る方法です。最も一般的なのは「スタイラス式」と呼ばれるもので、先端が非常に鋭利な針(スタイラス)で表面をなぞり、その針が上下に動く軌跡を電気的に読み取って粗さを数値化します。ちょうど、レコードプレーヤーがレコードの溝を針でなぞって音を拾うのに似ていますね。この方法の最大の利点は、直接触れることによる測定の確実性と信頼性の高さです。多くのJIS規格でも基準とされており、長年にわたってものづくりの現場で使われてきた実績があります。一方で、いくつかの注意点もあります。測定物に針が触れるため、柔らかい素材や塗装面などには微小な傷をつけてしまう可能性があります。また、測定に少し時間がかかることや、針の先端が摩耗すると正確な値が得られなくなるため、定期的なメンテナンスが必要になります。

3. 非接触式測定の原理と特徴

非接触式測定は、レーザー光や白色光といった光を利用して、表面に触れずに凹凸を測る方法です。代表的なものに「光切断法」や「共焦点方式」などがあります。表面に光を当て、その反射光が戻ってくるまでの時間や角度、焦点のズレなどをセンサーで捉えることで、表面の形状をデジタルデータとして取得します。この方法の大きなメリットは、対象物に一切触れないため、傷をつける心配がないことです。そのため、樹脂やゴムのような柔らかい素材、鏡面仕上げされた部品、文化財などの貴重なものの測定にも適しています。また、測定スピードが非常に速く、広範囲を一度にスキャンして三次元的な面の情報として捉えることも可能です。ただし、光を扱うため、完全に透明なものや、光を乱反射させてしまうような極端な光沢面では、正確な測定が難しい場合があります。

4. どちらの測定方法を選ぶべきか

では、設計や品質管理の現場で、どちらの方法を選べばよいのでしょうか。判断の鍵となるのは、測定するものの「材質」と「形状」、そして「測定の目的」です。例えば、硬い金属部品の品質保証データとして、JIS規格に準拠した信頼性の高い数値が必要な場合は、接触式が第一の選択肢となるでしょう。一方、傷をつけられないデリケートな光学レンズの表面や、柔らかいパッキンの表面状態を確認したい場合には、非接触式が最適です。また、一部分の線状の粗さ(線粗さ)だけでなく、面全体のうねりや質感などを評価したい場合には、三次元測定が可能な非接触式が非常に有効です。

5. 測定方法の「限界」を知ることの重要性

どちらの測定方法も万能ではありません。それぞれの「測定限界」を理解しておくことが、設計者として非常に重要です。接触式の場合、スタイラスの針の先端には丸み(先端半径)があるため、その半径よりも細かい溝や谷の底を正確に捉えることはできません。非接触式の場合も同様に、使用する光のスポット径よりも小さな凹凸を認識することは困難です。また、非常に急な角度の溝の底には光が届かず、測定できないこともあります。このような限界を知らずに過度に細かい粗さを図面に指示してしまうと、そもそも測定が不可能であったり、測定方法によって結果が大きく異なったりといった問題につながる可能性があります。

6. 適切な測定が品質とコストを最適化する

ここまで、接触式と非接触式の原理と特徴、そして限界について解説してきました。どちらか一方が優れているというわけではなく、それぞれの長所と短所を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。適切な測定方法を選択することは、単に正確なデータを得るためだけではありません。それは、製品に求められる品質を確実に保証し、同時に、過剰な品質要求による無駄な加工コストや検査コストを削減することにもつながります。結果として、品質、コスト、納期のバランスが取れた、競争力のある製品づくりを実現する鍵となるのです。

7. 設計と加工をつなぐ共通言語としての知識

表面粗さの測定方法に関する知識は、設計者と私たちのような加工現場の技術者とをつなぐ、大切な共通言語の役割を果たします。図面に描かれた粗さの指示が、どのような測定方法を前提としているのかが明確であれば、私たちはその意図を正確に汲み取り、最適な加工方法を選択することができます。これにより、試作段階での手戻りを減らし、よりスムーズな量産へと移行することが可能になります。日々の設計業務において、少しだけ測定方法にも思いを巡らせていただけると、ものづくりの精度はさらに一段階上がっていくはずです。


もし、設計や加工方法のことでお困りでしたら、私たちのような加工の専門家が、その知見を活かして何かお役に立てることがあるかもしれません。

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