皆さんこんにちは、アキヤマエヌシーテープセンターの秋山です。
今回は、旋削とフライスを一台で完結させる複合加工機が、工程間の移動や再段取りを排除し、全体の生産性にどう寄与するかを実データで分析します。
複雑な形状の部品を設計してみたものの、いざ見積もりを取ると「加工コストが高い」「納期が長すぎる」といった壁に突き当たった経験はありませんか。その原因の一つに、加工工程ごとに発生する「段取り時間」が大きく影響している可能性があります。この記事では、旋削とフライス加工を一台でこなす複合加工機が、いかにしてこの段取り時間を削減し、コストや納期、さらには品質にまで良い影響を与えるのかを、具体的な数値も交えながら、分かりやすく解説していきます。
1. なぜ「段取り時間」がコストを左右するのか
はじめに、「段取り」とは何かを簡単に整理してみましょう。段取りとは、材料を機械に正しく取り付けたり、使用する工具を準備したり、加工プログラムを読み込ませたりといった、実際の加工作業に入る前の準備作業全般を指します。この段取り時間は、機械が動いていても製品を生み出していない「非生産時間」です。そのため、段取りに時間がかかればかかるほど、製品一つあたりのコストは上昇してしまいます。特に、多品種少量生産が主流の現代において、この段取り時間をいかに短縮するかが、製造現場における大きな課題となっています。
2. 従来の加工方法とその課題
丸い形状を作る「旋盤」と、四角い形状や穴あけを得意とする「マシニングセンタ」。従来、多くの部品はこれらの専用機を組み合わせて加工されてきました。例えば、円盤状の部品にボルト穴や溝を加工する場合を考えてみましょう。まず旋盤で外形や内径を削り出し、次にその部品をマシニングセンタに移して穴あけや溝加工を行います。このとき、機械から機械へ部品を移動させる手間だけでなく、マシニングセンタで再び部品を正確に固定し、位置決めをする「再段取り」が必要になります。この再段取りは非常に手間と時間がかかり、生産性向上の大きな妨げとなっていました。
3. 複合加工機による「ワンチャック加工」という解決策
そこで登場するのが複合加工機です。この機械の最大の特徴は、旋盤の機能とマシニングセンタの機能が一台に集約されている点にあります。これにより、一度材料を掴んだら(これをワンチャックと呼びます)、持ち替えることなく旋削からフライス加工、穴あけまで、すべての加工を完了させることができます。機械間の移動や、それに伴う再段取り作業が根本的になくなるため、準備にかかる時間を大幅に短縮できるのです。これは、製造プロセスにおける画期的な変化と言えます。
4. 段取り時間削減効果を数字で見てみましょう
では、実際にどれくらいの効果があるのでしょうか。具体的なモデルケースで比較してみましょう。あるフランジ部品を1個加工する場合を想定します。
従来の加工方法(旋盤 → マシニングセンタ)
旋盤での段取り:30分
旋盤での加工:20分
工程間の移動と待ち時間:15分
マシニングセンタでの再段取り:45分
マシニングセンタでの加工:25分
合計時間:135分(うち段取り関連時間:90分)
複合加工機での加工
複合加工機での段取り:40分
複合加工機での加工(旋削+フライス):45分
合計時間:85分(うち段取り関連時間:40分)
この例では、段取り関連の時間は90分から40分へと、約55%も削減されました。全体のリードタイムも135分から85分へと、約37%短縮されています。この削減された時間分だけ、機械の稼働コストが下がり、製品コストの低減と納期の短縮に直接つながることがお分かりいただけるかと思います。
5. 時間だけではない、品質向上という大きなメリット
段取り時間の削減は、実は品質の安定にも大きく寄与します。何度も機械間で部品を付けたり外したりすると、その都度、わずかな取り付け誤差が生じる可能性があります。この小さな誤差が積み重なることで、最終的な製品の精度に影響を与えてしまうのです。ワンチャックで全加工を終える複合加工機は、この付け替えによる累積誤差の発生源を断ち切ることができます。結果として、より高精度で安定した品質の部品を供給することが可能になるのです。
6. まとめ:生産プロセス全体を最適化する視点
ここまで見てきたように、複合加工機は単に二つの機械を一つにしただけのものではありません。工程間の移動や再段取りという非生産時間を徹底的に排除することで、生産プロセス全体を最適化する力を持っています。この最適化は、お客様が求める品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)のすべてに対して、明確な改善効果をもたらします。設計者の皆様が思い描いた通りの部品を、より合理的な方法で実現するための強力なツールなのです。
7. 設計者のアイデアを形にするために
加工方法の特性を知ることは、設計の自由度を大きく広げてくれます。「こんな複雑な形状でも、ワンチャックで加工できるならコストを抑えられるかもしれない」といった新しい発想が生まれるきっかけにもなります。私たちは、加工のプロフェッショナルとして、そうした設計者の皆様のアイデアを形にするお手伝いをしたいと考えています。
もし、設計や加工方法のことでお困りでしたら、私たちのような加工の専門家が、その知見を活かして何かお役に立てることがあるかもしれません。
ぜひ、気軽に声をかけてみてください!
メールフォーム:https://akiyama-nc.com/contact/
電話:0545-35-2958
(電話受付時間:9:00-17:00 / 定休:土日祝)
お問い合わせの際に「ブログ見たよ~」と言っていただけると励みになります^^