幾何公差:位置度と真円度の測定と設計検証プロセス

皆さんこんにちは、アキヤマエヌシーテープセンターの秋山です。

今回は、位置度や真円度といった幾何公差を三次元測定機でどう評価するか機能設計に基づいた公差設定の妥当性を検証する手順を解説します

図面に指示された位置度や真円度。三次元測定機で測定してみたものの、出てきた数値が設計の意図とどう結びつくのか、今ひとつ確信が持てない。そんな経験はありませんか。特に、厳しい公差を指示したものの、それが本当に必要なのか、コストを上げるだけの過剰品質になっていないかと、不安に思うこともあるかもしれません。この記事では、三次元測定機を使った幾何公差の評価方法と、その結果をどう解釈し、設計の妥当性を検証していくかというプロセスを、一緒に考えていきたいと思います。

1. 幾何公差は「機能」を伝えるための言葉です

まず大切なのは、位置度や真円度といった幾何公差が、部品が果たすべき「機能」を形にしたものである、という視点です。例えば、位置度は「複数の穴が、相手部品と正しく組み合わさるために、決められた範囲に収まっていること」を保証します。真円度は「軸がベアリングの中で滑らかに回転するために、きれいな円形であること」を要求します。図面に書かれた公差は、単なる数字の制約ではなく、その部品が正しく機能するための「約束事」なのです。

2. 三次元測定機は「現実のカタチ」を教えてくれます

三次元測定機は、部品の表面にあるたくさんの点の位置を正確に読み取り、コンピューター上でその立体形状を再現してくれます。これは、図面という「理想のカタチ」と、実際に出来上がった部品という「現実のカタ-チ」が、どれだけ違っているのかを客観的な数値で示してくれる、とても強力なツールです。この「差」を正しく理解することが、設計検証の第一歩になります。

3. 位置度の評価で最も大切な「基準」

位置度の測定結果を解釈する上で、何よりも重要なのが「基準(データム)」です。図面には、必ず「どこを基準にして位置を決めるか」が指示されています。例えば、部品の底面と側面を基準(データムA、B)にして穴の位置を決める、といった具合です。測定の際に、この基準を正しく設定しなければ、出てくる数値は全く意味のないものになってしまいます。なぜなら、部品は必ず他の部品と組み合わさって機能するからです。その組み立て状態を正しく再現した基準で測ってこそ、初めて意味のある評価ができるのです。

4. 真円度の評価で見えてくること

真円度の測定は、単に「円からどれだけ外れているか」という数値を見るだけでは不十分です。測定結果をグラフなどで可視化してみると、その部品が「どのように歪んでいるか」が見えてきます。例えば、加工時にチャックで掴んだ箇所が原因で、少し三角形に近い形になっているかもしれません。このような情報は、加工方法の見直しや、設計段階での肉厚の検討など、次の改善アクションにつながる貴重なヒントを与えてくれます。

5. 測定結果から設計の妥当性を考える

測定結果が出て、公差の範囲内に収まっていれば一安心かもしれません。しかし、ここで一歩踏み込んで考えてみましょう。もし公差のど真ん中の値が出ていたら、それは「設計が適切だった」と言えるでしょう。しかし、いつも公差の上限ギリギリだとしたらどうでしょうか。もしかすると、その公差設定は加工方法に対して厳しすぎるのかもしれません。逆に、公差を大きく外れていても、組み立てシミュレーションをしてみると機能的には全く問題ない、というケースもあります。測定結果は、設計と現実をつなぎ、公差設定が本当に適切だったのかを検証するための「対話」の材料なのです。

6. 設計と測定をつなぐことが品質とコストを最適化します

ここまで見てきたように、幾何公差の測定は、単なる合否判定の作業ではありません。測定結果を設計意図と照らし合わせ、「なぜこのズレが生じたのか」「このズレは機能的に許容できるのか」を深く考察するプロセスです。この「対話」を繰り返すことで、不要に厳しい公差を見直してコストを下げたり、逆に機能上クリティカルな部分の精度を確実に保証したりと、品質とコストのバランスが取れた、より良いものづくりが実現できるようになります。


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